斜めダンディズム

日常に補助線を。

#1 過剰と依存

 ゾンバルトの「奢侈が資本主義を生み出した」という視点は興味深い。彼は、近世ヨーロッパの消費文化における奢侈品の需要が、資本主義の発展を駆動する要因だったと述べている。この観点は、資本主義が単なる生産効率の向上や市場拡大ではなく、文化や人間の欲望と深く結びついていることを示している。生活レベルを上げるのは簡単だが下げるのは難しい。贅沢は依存を生む。資本主義は消費者が持つ品質への依存と生産者の過剰品質で成り立っているとも言える。代用できるものだったり、なくていいもの、ないほうが返って心地よく暮らせるという感覚を麻痺させるのが資本主義という経済システムだ。

  1. 過剰に便利なものを作る。
  2. 人間の能力が劣化する。
  3. もっと便利なものを求める。
  4. もっと便利なものを作る。
  5. もっと能力が劣化する。

 さらにタチが悪いのが、この依存生成システムは循環的であることだ。終わりがない。地球の資源には限りがあるのに本当に株価は上がり続けるとは思えない。資本主義のこの循環を脱するには、「十分」という概念を再定義することが必要だ。また、過剰な資本が心を満たすわけではないことを認識することも大切かもしれない。